長年住み続けるマイホームは、生活の変化や設備の劣化に伴い、リフォームを検討する時期が訪れます。
特に、「キッチンやお風呂などの水周り機器」と「外壁」の2箇所は、リフォーム実施件数が多い箇所です。
それぞれの設備ごとのリフォームが生じるタイミングを把握して、費用や時期のスムーズな計画に役立てましょう。
■動機別に見る国内のリフォーム事情
国土交通省が毎年発表している『住宅市場動向調査』でリフォームの内容を見てみると、「住宅がいたんだり汚れたりしていた」と答えた人が最も多く、全体の48.4%を占めていました。
次いで多かったのは、「キッチン・お風呂・給湯器などの設備が不十分だったため」の31%です。
長期間の使用による汚れの蓄積や、お手入れしにくい箇所に生じたカビなど、古い設備は衛生面の不安も大きくなります。
また、快適な機能が豊富に搭載された最新の設備は、家事の負担を軽減し、衛生面の不満もクリアする事ができます。
この「汚れ」と「不便さ」が生じるタイミングこそ、リフォームが必要となる時期と言い換える事ができるでしょう。
■キッチン・お風呂・トイレは15〜25年
約3割の人が実施の理由として挙げたほど、キッチンやお風呂は最もリフォームが行われる箇所の1つです。
平成27年には、キッチン・お風呂・トイレのリフォームが、国内で実施された設備リフォームの90%を占めていたという結果が出ています。
最も多いのはキッチンで、次点でトイレ、お風呂の順となっています。
国土交通省の住宅局では、キッチン・お風呂・トイレなどの水周り機器は、いずれも「15〜25年」が期待耐用年数としています。
中でも、毎日大量の水分と湿気に晒されるお風呂周りは劣化も早く、給湯器の設備不良や設備の傷みが生じやすく、20年以内には何らかの不具合が生じる可能性があります。
築20年経った頃には、これらの設備リフォームの費用が必要となるため、計画的に準備しておきましょう。
■マイホームの鎧・外壁は10年に1度の点検を
屋外に晒されている外壁や屋根は、日光や雨、強風時の飛来物などで、汚れや傷みが生じやすい箇所です。
傷みを早めに補修しておかなければ、外観の見た目を損ねるだけでなく、家の内部にまで被害を広げる事になり、大規模なリフォームや補修が必要となってしまいます。
外壁・屋根は、構造や材料によって期待耐用年数が若干異なります。
外壁
・サイディング、モルタル共に20〜40年
屋根
・陶器瓦→25〜50年
・化粧スレート、ガルバリウム鋼板→20〜40年
■外壁本体よりも深刻な、塗装の劣化
外壁や屋根そのものが20年以上の耐用年数を持っていても、それぞれの表面を守る「塗料」が劣化してしまうと、通常の耐久性を保つ事は難しくなります。
塗料は、使われている主成分でグレードが決まり、耐用年数も異なります。
最もグレードの低い「アクリル樹脂塗料」は、約5年から8年の耐用年数が一般的です。
対して、最上位グレードの「フッ素樹脂塗料」は最大で約15年の耐用年数を持つと言われています。
この2つの塗料の耐用年数から考えると、外壁や屋根の塗装リフォームは、10〜20年以内には行う事が推奨されます。
また、塗装とは異なりますが、外壁や屋根の継ぎ目部分に埋め込まれた「シーリング材」は非常に劣化しやすく、早いものでは約5年でひび割れが生じる事があります。
シーリング材に生じたひび割れは、浸水や害虫の侵入口となってしまい、せっかく外壁や塗装が丈夫でも、家の強度を落とす原因になってしまいます。
以上の事から、外壁と屋根は、最低でも5年から10年に1度は補修の点検が必要となり、20年以内にはリフォームを実施しなくてはならないと言えるでしょう。
■まとめ
国土交通省の調査では、リフォームが行われた家の平均築年数は、27.9年というデータも出ています。
つまり、30年以内にはどの家でもリフォームが行われている事になります。
毎日使うキッチン等の水周り機器や、屋外に面した外壁や屋根は、特に傷みや劣化が起きやすい箇所です。
約10〜20年に1度はリフォームのタイミングが訪れる事をあらかじめ予測し、費用の計画や業者選び等、準備を進めておくと良いでしょう。